スワートは、アフガニスタンとパキスタンに跨って暮らす民族、パシュトゥン人が多い地域。
パシュトゥン人は、パキスタンの中でも特に保守的で、厳格なイスラム教徒として知られています。
現在のスワートは例外なくイスラム教一色に塗りつぶされた地域ですが、スワートにイスラムが入ってくるよりずっと前、もともとここは仏教が花開いた土地でもありました。
そのためスワートには、今もあちこちに仏教遺跡が残されています。
今では敬虔なイスラム教徒として生きるスワートの住民ですが、数千年も前からそこにあり続けてきた仏教文化の名残やその遺跡群は、自分たちのルーツであり、愛する故郷が歩んできた歴史の一部として、大切にしていたものでした。
ですが、2007年にスワートにやって来たタリバンによって、仏教遺跡を次々と爆弾や斧で破壊されてしまいました。タリバンは、厳格なイスラム原理主義を掲げ、「彫像や絵画はイスラム教に反する罪深いもので、許されない」と主張したのです。
ですが、そんなスワートにありながら、奇跡的に全く無傷で存在している仏教遺跡がありました。
今日は、奇跡の仏教遺跡、シャホリーの磨崖仏を訪ねた時のことを描きたいと思います。