ミンゴーラからカラームへの移動は、かつて経験したことのないほどの悪路の連続だった。
ミンゴーラを出発し、途中までは舗装された道路が続く。比較的スムーズな移動だった。
しかし少しずつ高度を上げ、ローカルバスの窓から吹き込んでくる風がひんやりしてきたあたりから、道路の様子は一変。
山間に入ると、いよいよ今にも崖が崩れてきそうなオフロードに変貌。
道幅は狭く、車一台すれ違うのがやっと。その割に、観光地ということもあってか交通量は多い。
あちこちで道路整備の工事が行われているために、しばしば足止めを食らう。
さらに、外国人旅行者である私が乗っているローカルバスは、チェックポストを通過する度にパスポートチェックや滞在目的などの質問が入るため、後続の車にどんどん追い抜かされてゆく。
パキスタンでは珍しく、あまり友好的ではないドライバーに文句を言われ続け、その度に「ごめんね〜」と苦笑い。
ミンゴーラからカラームまでは、距離にして100km弱だが、結局移動には6時間ほどの時間を要した。
セキュリティポリスと共に。
カラームのエントランスにあるチェックポストにて、私だけバスを下車。
どうやらここカラームでは、チトラールと同様、外国人旅行者にはセキュリティポリスが付く決まりになっているらしい。
チェックポストにてカレーとチャパティ・チャイをごちそうになった後、ポリスが車で迎えに来てくれて、そのままカラームのポリスオフィスへと向かう。
そこで31歳のユースフというポリスを紹介され、セキュリティとして付いてもらうことになった。
(※外国人旅行者であっても、男性または男性の同伴者がいる女性は、「必要ない」と断ればセキュリティなしでも許可されるようです。私の場合は女一人なので、認められませんでした。)
その後、ポリスたちが紹介してくれたホテルまで車で送ってもらい、値段交渉までしていただき、なかなか立派なホテルに安く泊めさせていただけることになった。
カラームの街をひとまわり。
この日のカラームは天気が悪く、ミンゴーラとは打って変わって空気はひんやりとしている。
ありったけの服を着込んでも寒いので、体を温めるためにも宿の周辺を歩いて散策することに。
カラームは小さな街だけど、上スワート観光の拠点というだけあって、ホテルやレストランが充実している。
まだシーズン前なので観光客はそこまで多くはないけれど、夏になると多くのパキスタン国内観光客が訪れるのだという。
バザール通りには、お土産屋さんがずらりと並ぶ。
スワート刺繍が施されたショールや布、ミラーワーク刺繍の可愛らしいドレスや雑貨を扱うお店などがたくさんあって、お買い物も楽しい場所だ。
カラームは、今まで訪れたパキスタンのどの街よりも、英語が圧倒的に伝わらなかった。
宿のスタッフにも英語を話す人はいない。
やっぱり、パキスタンの辺境を歩き回るのならウルドゥー語は話せるようになりたい・・・。
そう、この旅で改めて思った。
ただ、何かあるとすぐに近くのお土産屋のShahid(英語ペラペラ)が駆けつけて、通訳をしてくれたので困ることはなかったのだけれど。(彼はミンゴーラから来ている商人で、仕事で何度も外国に行ったことがある)
Shahidは、「困ったら24時間いつでも店に来ていいし、連絡してくれて大丈夫だからね」と言ってくれた。
よくしてくれる人がいるのも事実だけど、どうやら基本的にカラームの人々はあまり友好的ではなさそう。
街を歩いているとただただ好奇の目で見られているような感じがして居心地が悪かった。
カラーム、好きになれるといいな。
そんなことを想いつつ、何重にもかけた布団にくるまって眠りについた一日目の夜だった。
2018年5月 日記より
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