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2019年11月18日月曜日

アザーンの夕べ【パキスタン・ペシャーワル】



ペシャーワルの旧市街では、100mを歩くごとに、新たなマスジド(モスク)に行き当たる。
そういっても過言ではないほど、至る所にマスジドが点在している。
全てが、ひと目ではっきりと、マスジドだ、と認識できるような、
ミナレットやドームを持ったそれらしいものばかりではなく、
礼拝の終わる時刻に祈りを終えた男たちが入口からぞろぞろ通りに出てくるのを見たときに、
はじめて、そこにマスジドがあったことに気づく、なんてことも多かった。


礼拝の時刻が近づくと、
アザーン(祈りを勧める詠唱)が町に鳴り響く。
イスラーム世界を旅し初めた頃は、
録音した音声を流しているとばかり思い込んでいたアザーンは、
実は毎時刻リアルタイムで、ミナレットから誰かがマイクで朗詠している、
ということを知った時には驚いた。


それから、アザーンの響きに以前にも増して耳を傾けてみるようになった。
すると、町や場所が変わるごとに、聞こえてくるアザーンのリズムや声色、
暗誦の奏法が少しずつ異なっていることに、気づく。
同じペシャーワルの町の中でも、各マスジドから流れてくるアザーンの音色は十人十色だった。


昼間は喧騒の只中にあっても、
夜明け前のペシャーワルは、静寂に包まれている。
そのため日が昇る前の礼拝を呼びかけるアザーンは、
他の時間帯に比べてより一層、強く町に響き渡る。


私が宿泊していた宿は旧市街の中心部近くにあり、マスジドも多い。
道を挟んだ向かい側にあるマスジドから聞こえる大音量のアザーンに、
毎日まだニワトリが鳴く前であっても否応なく起こされる。


そして、夜明け前の礼拝をしようとのそのそ布団から出ると、
こんどはどこか別の場所から、そしてまた別のところから、
というように、各マスジドから朗詠されるアザーンが、二重三重にも折り重なる。
静寂のペシャーワルの街にこだまするその音は、神秘的な雰囲気を生み出していた。。



私は、ペシャーワルで聴くアザーンがとても好きだった。
瞑想のように広がる奥深い音色は、いつも心に静けさを運んでくれた。
そして、日本への帰国が近づく毎に、
これが聞けない日々なんて、、
と、とても辛い気持ちになった。





それでもスマートフォンというのは便利なもので
アザーン と検索すると、礼拝時刻を知らせてくれるアプリがいくつも見つかる。
日本の今住んでいるところにロケーションをセットすると、
毎日日の出や日の入りの時刻に合わせて5回のアザーンが流れる。


ペシャーワルのように、
とてつもない大音量でアザーンを流してくれる場所が
この町にもあったらいいのに、とても心が落ち着くのに、
といつも思っているけれど、
そんな施設が日本の街中にあったら近所から大クレームになること間違いなしだ。


だから私はいつも自分の部屋で、
スマホのアザーンを聴いている。


日没の時間。
アッラーフアクバル。アシュハドゥアンラー・イラーハ・イッラッ・・・
礼拝を誘う台詞がスマホから流れる。
太陽が沈みオレンジから紫色へと変わりゆく幻想的な空を窓辺から眺め、
心が静寂に包まれる。




普段仕事のある日はいつも帰りが遅くなってしまうので、
休みの日だけゆったりと味わえるその時間は、
私にとって欠かせない、極上の癒しの時間。
なくてはならない大切な瞬間だ。




***



これはYoutubeで見つけた、重奏のように美しく響き渡る
幻想的なアザーンの雰囲気がよく伝わってくる動画。


実際に身を置くと、ほんとうに心が震えるのです。アザーン。



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