敬虔なイスラム教国であり、人口の97%をイスラム教徒で占めるパキスタンで
独自の多神教を信仰する民族が、アフガニスタン国境に近い山奥の3つの谷(ブンブレット谷・ルンブール谷・ビリール谷。総称してカラーシャ谷とも呼ばれる)に暮らしている。
パキスタン北西辺境のチトラールという町からジープで3時間移動した先に
カラーシャの人々が暮らす谷はある。
独自の宗教、言葉、文化を守りつづけるカラーシャ族。
多くの旅行者を惹きつけるカラーシャの魅力の一つは、女性が身につける衣装や、四季折々に行われるさまざまなお祭りだろう。
カラーシャの女性は普段から、丈の長い黒いドレスにカラフルな織物で作られたウエストベルト、そして頭にはカラフルな頭飾り、という伝統的な衣装を身につけて、農業を中心とした生活を送っている。
カラーシャの宗教は祭りと一体化していて、宗教行事をたくさん盛り込んだお祭りは、季節の変わり目に合わせて開かれる。
中でも一番大規模で有名なのが、5月中旬のジョシ(チリムジュストとも呼ばれる)だ。
ジョシは、春の訪れを祝い、収穫の豊穣を祈って行われる祭り。
ジョシの期間になると、パキスタン中から多くの観光客や報道関係者がやってくる。
このエリアでは普段は少ない外国人観光客も、この時期になるとよく見かけるようになる。
私は2018年5月14日から3日間、
このお祭り中、一番カラーシャ族の人口が多く、
お祭りの規模も大きいというブンブレット谷を訪問した。
このお祭り中、一番カラーシャ族の人口が多く、
お祭りの規模も大きいというブンブレット谷を訪問した。
以下は、お祭りの様子や、村のあちこちで出会った人たちの写真。
ブルーン村の神殿に入ってゆく女性たち。3日間に渡る祭りがここから始まった。 |
家の前で。新しい服と首飾りで着飾った可愛らしい少女。 柔らかな笑顔を向けてくれた。 |
美人少女ふたり組。 カラーシャの子でも、ムスリム女性のような「ヒジャブ(頭を覆う布)」を巻きつけてたりする。 学校で、そうするように先生に言われるのだとか。(谷の学校にはムスリムの先生もいる) |
ダンスが始まる前。会場の掃除をしていた女の子。 |
メインのダンス会場に移る前。 余興のような感じで行われていた、規模の小さいダンス。 太鼓をたたく音楽隊がいて、その周りで女の子たちがダンスを踊る。 周囲には、ダンスを見学しに他の町からやって来たムスリム男性がたくさん。 カラーシャ谷の属している州では特に、女性は目以外は布で隠している場合が多いので、 男性たちは普段は見れない美しい女性を拝みに来ているのだとか。 |
カラーシャの若者。 女性と違い、カラーシャの男性は、パキスタンのムスリム男性と同様に 国民服であるシャルワール・カミーズを身につけている。 カラフルな襷と帽子の羽は、お祭りで身につける特別な飾り。 |
日常的な頭飾り「シュシュット」に加え、 お祭りの時にはヤコスガイのついた「クッパース」をかぶる。 シュシュットもクッパースも、ものすごく重い。 被らせてもらったけど、頭の上でバランスが保てずにすぐにずり落ちてきた。 どうしてこれを長時間頭の上で保てるのか、不思議。 |
カラーシャの若い女性。 美人さんで思わず見とれてしまう。 お祭りのメインのダンス会場にて。 この子は確か学生で、普段はチトラールで学んでいるけれど、 お祭りに合わせて帰省している、と言っていた気がする。 |
村の中を歩き回っていたら、女性が家から出てきた。 みんな、「イシュパータ!(カラーシャ語でこんにちは)」と言って 家の中に招いてくれる。 |
以下、ダンス会場の様子を動画にて。
今回も、衣装を着させてもらった。 頭飾りは重くて頭の上で維持できないので断念。 この格好で歩いていたら、報道関係の人にインタビューされた。 |
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★カラーシャ谷に関する旅情報★
【ジョシの日程について】
ブンブレット谷・ルンブール谷・ビリール谷それぞれでお祭りが行われます。
毎年5月上旬に開かれますが、谷によって日にちは若干違うので、実際に現地で確認してください。
【ブンブレット谷への行き方】
■チトラールからブンブレット
チトラール南側のバスターミナルから直通の乗り合いジープが出ている。
9時頃行ってみたが「乗り合いジープは14時に出る」と言われた。
他にもブンブレットに行きたい人が何人かいたので、乗り合いタクシーに乗って10時頃出発。
お祭りのため谷への道は渋滞していて、さらにエンストするハプニングもあり、チトラールを出てから到着するまでに3時間半かかった。一人300ルピー。(ポリス同行なので+300ルピー)
■ブンブレットからチトラール
チトラールへ直行する朝の乗り合いジープは村の中心地から7時出発らしく、9時過ぎに行った私たちは乗り遅れてしまった。
アユーン(途中の村)乗り換えの乗り合いタクシーならあると言われた待っていたけれどなかなか通りかからず、普通のタクシーを3人でシェア。1600ルピー(一人500ルピーちょっと)。
道は空いていたので2時間ほどでチトラールに到着。
【ブンブレット谷の宿】
*ブットカラーシャゲストハウス Butt Kalash Guest House
ブルーン村のカラーシャ族の家族が経営する、外国人バックパッカーに人気の宿。
ホームステイしているような感覚で泊まれる。
チトラールの人たちは「カラーシャの宿は汚い」と言うけれど、ここの宿はそこそこ綺麗。オーナーは英語も話せる。家族はみんな親切。
■料金 食事込みで一人1500ルピー。
※宿泊客が少なければシングルルームとして使わせてもらえるけれど、多い場合はドミトリーになる。いずれにしても料金は同じ。
■wifiなし、ほぼ停電なし。
■ホットウォーターは出ないけど、やかんで熱々の湯を用意してくれた。
ブンブレット谷には他にもたくさんホテルやゲストハウスがあるが、ムスリムが経営している宿も多い。
カラーシャの人々の文化や生活を知りたければ、カラーシャの人たちがやっている宿に泊まるのがおすすめ。
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