2019-03-03

ヒンドゥークシュをみつめて【パキスタン・チトラール】





宿のオーナーが手配してくれたジープに乗り込み、
町外れの山へと続くくねくねとした細道を、ひたすら登ってゆく。

窓からは、ジープが巻き上げる激しい砂埃とともに、
ひんやりとした風が舞い込んでくる。


チトラールの町を出発してから約1時間ほどで、
Chitral Gol National Parkの入り口に到着。





7000ヘクタール以上の、広大な面積を持つ国立公園が、ここチトラールにはある。




一応、登山道のようなものはあって、
ここからカラーシャのルンブール谷へ抜けるルートもあるようだけど、
護衛警察が同行しているのであまり奥まで入りこむことは出来ない。
今のポリスはちょっと厳しめで、“It is not allowed”
を、決まり文句のように毎日連発する。









そういうわけなので、今回歩けたのは
広い国立公園内の、ほんのわずかなエリアのみだったけれど
それでも、青く晴れ渡った空の下、
人っ子一人いない静かな森や木々の間を歩き、
ヒンドゥークシュの山々を眺めながらピクニックをする。


この上なく、贅沢な時間に違いなかった。










風の谷フンザも、
東洋のスイスと謳われるカラームも。
美しい場所は、他にもいくらでもある。




けれど、私には、
このヒンドゥークシュの風景が、
一番心にしっくりとくる。




雲がぽつんぽつんと浮かんだ空も、
雪をわずかに浴びた茶けた山々も、
ミニチュアのように広がる町の家々も、全部好き。




そしてなによりも、
このヒンドゥークシュの麓に暮らす人たちのことが、たまらなく好きなのだ。





いつまでも変わらず、平和で穏やかな場所であり続けて欲しいと、
こころから願っている。










2018年5月 旅日誌より





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