2018-07-25
ウルタルの崖崩れ。今日を生きる【パキスタン・フンザ】
実は、カリマバードに着いてすぐ、身体中に発疹が出はじめた。
はじめは「蕁麻疹かな?」「すぐに良くなるだろう」と軽く考えていたけれど、症状は良くなるどころか悪化していく一方。
チュプルソンに滞在中はピークになり身体中の発疹は軽く100ヶ所を超え、しかも蕁麻疹や虫さされどころのかゆみではない。
夜も眠れなくなり、本当ならば長期滞在したかったチュプルソン村を数日の滞在のみで引き返し、政府運営の病院のあるカリマバードへと戻る事にした。
(何度か病院へ行き、最終的に疥癬治療のステロイド+殺虫作用のある軟膏を処方してもらい身体中に塗ってみたところあっという間に治った。)
*
チュプルソン谷からスストを経由し、カリマバードへと戻る途中。
ガニシュ村の手前数百メートルほどの場所で、車が何台か止まっている。
何だろう?とバスの後方から前方を確認して見ると、なんとがけ崩れにより道路(カラコルムハイウエイ)が通行不可能な状態に。
ちょうど、雨が降り続いた後で、地盤が緩んでいたのだろう。
幸い怪我人はいなかったようだが、車やバスが何台も立ち往生をしている。
ほんの数分前の出来事だったよう。
ここを通るタイミングが少しでもずれていたら、危なかったかもしれない。
(このあと、結局バックパックを背負い、歩いてカリマバードへと戻った)
*
私がカリマバードに戻ってきたその日。
カリマバードの裏にそびえる山ウルタルでも、がけ崩れがあったとのこと。
がけ崩れが起きたその瞬間に動画を撮っていた人がいてその映像を見せてもらったら、バルチットフォートのあたりまで茶色い煙で覆われており、相当に規模の大きいがけ崩れだったことがわかった。
その後聞いた話だが、ベースキャンプ周辺は、以前の美しかった姿は消え去り、今は岩石でめちゃめちゃになっているとのこと。
そして、このがけ崩れにより、ちょうどベースキャンプにいた現地ガイドとパキスタン人ツーリストの計3名の尊い命が失われた。
このあとフンザの関係者でウルタルに捜索に出たようだったけれど、それでも遺体は見つからないとのことだった。
*
同じ日、ラーワルピンディー〜ギルギット間のカラコルムハイウエイでもがけ崩れが起き、カラコルムハイウエイが通行止めになっているという話を聞いた。
この一週間後くらいにこの区間をバスで通ったが、一応通行できるようにはなっていたけど落石があたりに散らばり道路もその部分だけ未舗装のような凸凹道へと変わってしまっていた。
***
地震に津波、洪水に土砂崩れに台風。
日本でもここのところ、自然災害があまりに多いように思うけれど
同じように、パキスタンでもこういった自然災害は珍しいことではない。
国土の多くが山岳地帯に属すパキスタン。
あまりにも大きく厳しい自然を前にして、時に人は成すすべを持たない。
自然への畏怖と、命の儚さを思い知らされる。
パキスタンは、“生と死”を、日本にいる時よりも身近に感じる場所。
もしかしたら、明日はないかもしれない。
ふとした瞬間に、そんなふうに思うことも少なくない。
でも、それは実はパキスタンにいても世界のどこにいても、日本にいても同じことで。
約束された明日なんて誰にもない。
神様だけが知っていること。
でもだからこそ、そのことを常に意識しているからこそ、
今ある命に感謝し、今この瞬間を懸命に生きようと思える。
明日でも昨日のことを想うのではなくて、今日この瞬間に集中する。
今いるこの土地で、ここにいる人々との一期一会の毎日を大切にしようと、日々を大切に生きれる。
そして、
「今日も生かしてくれてありがとう。
どうか明日も、この平安が続きますように。」
そんな風に、神様に願うのだ。
***
冒頭の写真は、崖崩れが起きる1週間ほど前。
カリマバードから臨む、白い雪を頂いた美しいウルタルの山。
2018年4月
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