2018-07-04

もうひとつの風の谷、ユンズバレーへ【パキスタン】


「風の谷のナウシカ」のモデルになったと、旅人の間で噂されている桃源郷・フンザ。
実は上部フンザに位置するここパスーにも、「風の谷」と呼ばれる場所があります。

この日は、そんなパスーの風の谷・ユンズバレーを目指してみることにしました。








バトゥラ氷河〜ユンズバレー〜パスー氷河は、パスー村から6〜8時間ほどで巡れるトレッキングルート。
情報ノートやネットの情報を見ると、中には自力で行っている人もいるようだった。
そこで、パスーに着いてからすぐに宿のオーナー・アクバルに「わたしもユンズバレーに自力で行けるかな」と相談してみたところ、「一人で行くのは危ないからガイドを雇った方がいい」とのことだった。
アクバルは、知り合いの地元ガイドにすぐ電話してくれ、彼の交渉のおかげで特別にRs1500でガイドをしてもらえることになった。







朝陽に照らされる山、トポップダンを拝みながら、早朝に出発。



パスーピークインから歩いてすぐのところに、パトゥラ氷河へ向かうトレッキングルートの入り口はあった。





登り始めてすぐ、岩山の中腹にアイベックスの群れを発見。
残念なことに望遠レンズも何も持ちあわせていなかったので、その姿をはっきりと写真に収めることは出来ていない。
でも確かに、この写真のちょうど真ん中あたりに彼らはいて、こちらをじーっと見て観察していた。
ガイドの話によると、ここのトレッキングコースでアイベックスに会えることは稀で、ものすごく幸運なことらしかった。


考えてみると今回のパキスタン旅では、ラッキーなことが続いていた。
「ついてないなぁ」が目立った去年の中央アジアの旅を経験しているから、なおのことそう感じたのかもしれない。
幸運は、じぶんで引き寄せることができるものだと思う。その人の、ものごとの捉え方次第でもある。
「幸運」と感じれる体験が続いたのもきっと、「大好きな国にいれる」という喜びから湧き出るプラスパワーの影響が大きいんだと思ってる。
それに、大好きなパキスタンにいるあいだは、眠っていた自分の本能の声が聞きやすくなる気がする。
きっと、自分の本能が求める声に従って旅をしている時って、全宇宙が自分の味方をしてくれる。







岩肌に設けられた細いトレッキングルートや岩場を歩き続ける。
そうしてひと山登りきって辿り着いたのは「ユンズビン」と言う場所。



ユンズビンからは、バトゥラ氷河と氷河を取り囲む山々を一望できる。
ここから見える山々はいずれも、7000m級の雄大な山々ばかり。
ここに着いてすぐに「氷河はどこにあるの?」と聞いてしまった。
どうやら茶色い砂に埋もれて見えなくなっているだけで、ここの大地は全面が氷河で覆われているということだった。
バトゥラ氷河は65kmほど奥まで続いており、夏場は5日間くらいのトレッキングを経て奥地まで行くことができるらしい。
パスーの村人が放牧をする夏の陣営地も訪ねることができるのだと聞き、次の冒険プランが頭の中に描かれて心が弾んだ。



このあといよいよ、ユンズバレー、風の谷の世界に足を踏み入れる。



ユンズバレー。
森林限界を超えた山肌に緑はなく、ゴツゴツとした茶色い山に囲まれた谷と、地面に無造作に転がる岩石の景色だけの、荒涼とした大地が広がる。
わたしたち以外、誰もいない。静寂に包まれた世界。
こんなに美しいのに、ほとんど誰にも知られることなく存在してきた、地の果てのような場所。
世界にいるのは自分だけのような、まるで、違う惑星にじぶんたちだけ迷い込んでしまったような、そんな感覚にさせられる。

谷の向こうから、メーヴェに乗って飛んでくるナウシカの姿が見えるような気がした。



あらゆる選択の人生で、あらゆる出会いとタイミングが重なり合って、偶然この景色にたどり着くこととなった不思議を思わずにはいられなかった。


いっけん静かなこの場所。でもよく耳をすませてみると、ここは音で溢れてた。
ヒュ〜ヒュ〜。 頬に優しくあたる風の音。
ゴォォォォォ。 どこからともなく、氷河から流れだす水の轟音。


この日の空は、雲ひとつない快晴。
どこまでも青く澄み渡った、天色の空が広がる。
日差しが強く、肌に太陽の愛を感じる。


美しい地球に生きる恩恵を、体全体で受け止めて、体の奥底からパワーがみなぎってくるようだった。







ユンズバレーの谷間を、パスー氷河に向けて南へひたすら歩く。



ユンズバレーの尽きるところは下が崖になっていて、崖の上からはパスー氷河をまみえることができた。



一年前に来た時はどんより空で雨も降っていて、ほぼ何も見えなかっただけに、改めてみる広大なスケールの景色に思わず「わっ」と声を上げる。
ここでしばらくの間、氷河を眺めながら休憩した。







休んだ後は、そのまま氷河沿いの崖を注意しながら降りてゆく。
ゆっくり、一歩一歩。迫力ある氷河を横目に足を進める。



そうして宿を出発してから7〜8時間ほど。
再び、パスー村(現実世界)に無事に戻ってきたのだった。




日に焼けて顔は火照り、久しぶりに歩いたものだから足もガクガク。
この日は、いつにも増してぐっすりと眠ることができたのだった。



***



ここのトレッキングコースは、道がわかりづらい場所も多く、土地やコースをわかっていないと危険な箇所もあります。よほど登山慣れしている人なら自力も可能かもしれませんがアクバルの言うとおり、ガイドを雇うのがベストだと思います。私は一人で行っていたら多分迷うかものすごい時間がかかるかで、こんなにスムーズに行って帰ってくることは出来なかったと思います。
それと、ガイドさんが思っていたよりも高齢の方だったので最初は「大丈夫かな?」と思っていたのですが、アクバルにあとあと聞いたところ、「若すぎるガイドは女性と二人になった時にもしかしたら不快な思いをさせてしまうかもしれない。だから、少し年齢は高いけど、落ち着いていて信頼できるガイドに頼んだんだ」と教えてくれました。
基本的にこのトレッキングルートでは他の人に会わないので、信頼できるガイドは大切です。特に一人旅女性には!本当に、アクバルさまさま。。
おかげで始終安心してトレッキングを楽しめました。
ありがとう、ガイドさん。ありがとう、アクバル!



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