アラスカに魅せられて写真家となった星野道夫。
彼の文章はどうしてこんなにも胸に沁みるんだろう。
とてつもなく優しくて、流れるように美しくて。
どうしてこんな文章が書けるのだろう・・・
彼のエッセイを読むと、本当に心が洗われる。
フンザに滞在中、出会った旅人に
「星野道夫物語」という本を借りて読んだ。
その中で心に響いた言葉をノートに書き留めていた。
渡航の前日。
イスラマバードの安宿の一室で
ノートに書き留めた「ナヌークの贈り物」
という物語を繰り返し繰り返し読んでいた。
狩るものと狩られるものの掟を
少年がナヌークから教わる物語。
ナヌークとは、エスキモーの言葉でシロクマのことをいう。
少年はいつか若者になった時、戦わなければならない。
ナヌークは少年に語る。
少年よ、わたしたちはアザラシを食べ、アザラシは魚たちを追い、
魚たちは海の中の小さな生きものを口にふくむ。
生まれかわっていく、いのちたち。
おまえのおじいさんの最期の息を受け取った風が、
生まれたばかりのオオカミに、最初の息を与えたのだ。
生まれかわっていく、いのちたち。
少年よ、消えていくいのちのために祈るのだ。
おまえのおじいさんが、祈っていたように。
おまえのその祈りこそが、
わたしたちに聞こえる人間のことばなのだ。
われわれは、みな大地の一部。
おまえがいのちのために祈ったとき、
おまえはナヌークになり、
ナヌークは人間になる。
いつの日か、わたしたちは、
氷の世界で出会うだろう。
そのとき、おまえがいのちを落としても、
わたしがいのちを落としても、
どちらでもよいのだ。
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パキスタンでは
もう死んでも悔いないな
と思えるほどの瞬間が何度もあった
と思えるほどの瞬間が何度もあった
それでも唯一心残りがあるとしたら
一番行きたい国に行けていないことだった
わたしにとってアフガニスタンは、
死んでもいいから行きたい場所。
他のどんなことよりも
心の底から叶えたい夢。
とは言えここで死ぬ気は毛頭ないので
可能なかぎりの安全対策を。
そのためにイスラマバードで数日を過ごした。
渡航を告げた数人の旅界隈の友人たちには
止められたり非難されるかと思いきや
意外にも背中を押してくれた人もいた
“そこに行きたいって気になって
そこに行く機会が出来たってことは
きっとそこには行くべきだった理由と答えがあるはず。
一度きりの人生、後悔しないように”
初めてのパキスタン渡航前夜のような、
あの時と似た緊張感ふたたび。
ずっとひとり旅をしていると
「勇気があるね」「怖くないの?」と言われる。
わたしは実はけっこうビビりな方で気も弱いし心配性。
考えすぎて取り越し苦労をしていることも多い。英語も得意じゃない。
それでも一人でこうして旅をしているのは
恐怖にも勝る旅への想い、止められない知的好奇心があるから。
だから、怖いものは怖い。
ずっと夢見ていたことなのに、恐怖に負けてしまいそう。
死ぬことを怖いとは思わない
でも、誘拐でもされたら?
家族に悲しい思いをさせたくない。迷惑かけたくない。
そこが一番おそろしい。
なのに、
どうして大きなリスクを背負ってまで行きたいんだろう。
ぐるぐるぐるぐる
さまざまな想いが頭の中をめぐる
そうこうしているうちに、
いつの間にか、眠りに落ちていた。。。
2018年4月 旅の記録
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