日本への帰国便が、もう、すぐ目の前にせまっていたその日
明日にはペシャーワルを出る、と友人イルファンに告げる。
するとイルファンは云う、
「僕は、君は滞在を伸ばすとみてるよ。
何たって、明日は預言者ムハンマドの生誕祭だからね。
ペシャーワルでは町中がカラフルにデコレーションされて
夜はライトアップされ、みんなお祭り騒ぎさ。」
*
2018年、11月21日。
今日は、ヒジュラ暦による、預言者ムハンマドの誕生日。
朝目覚めてスマホのwifiを繋ぐと
パキスタンの友人たちから次々とメッセージが入っている。
Eid Mawlid al Nabi!!
今日は、お祭りだ。
いつもと変わらぬ昼間を過ごし
夕方から、お祭りの雰囲気を感じようと街へと繰り出す。
キッサカワニバザールを抜け、
色とりどりのネオンでデコレーションされた
極彩色に光を放つ時計塔通り。
カラフルなパキスタン。
活気にあふれ、底知れないエネルギーの放出。
通りを歩く人はあまりに多く
この地では珍しいモンゴロイド風の顔立ちをした私は
なるべく目立たないように、足早に進む
それでも煌びやかに装飾された通りの様子を
せっかくだから写真に収めたい。
カメラを出して撮影をはじめると、
おおよそたった10秒そこらのあいだに
周囲には人・人・人・・・
好奇心旺盛な子どもたちにまず囲まれ
そこに野次馬な大人たちも加わり
スマホで写真を撮られ放題。
こちらも負けじと、撮りかえす。
けれど、あんまりにカオスな状態になってくると
いよいよ身の危険を感じ始めて、また歩きだす。
子どもたちはどこまでも後ろをついて来て
写真撮って写真撮って!とせがまれ続け
どうしようもなくなり、けっきょく警備の警察官に助けを求め、
なんとかして追い払ってもらった。
人懐っこくて可愛いのだけど。
歩行者天国となった通りを、ものすごい人の中を、進む。
ギラギラ光るペシャーワルの街。
だんだんと、目眩がしてくる。
そうだ、私お祭りって、あまり得意じゃないんだった。
と思い出す。
でも、食べ歩きは好き。
たくさん屋台が出ているから、
色々なものを食べれて楽しかった。
可愛らしい女の子の妖精たちもたくさんいて
癒された
***
翌日、時間ギリギリまでペシャーワルに滞在。
バスに乗り、それから直接イスラマバードの空港へ向かった。
帰国。こんなに後ろ髪引かれる旅先は、他になかった。
今回もまた、長い夢を見ているような、
いつまでも覚めないでほしいと願ってしまうような、
狂おしく愛しいパキスタンの旅だった。
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