2019-12-13

魅惑のペシャーワル旧市街をゆく【パキスタン】






「国境の町」を意味する、辺境の都市ペシャーワル。
アフガニスタン国境のあるカイバル峠から東へわずか50km。
古くから東西を結ぶ交易の町として栄えてきたこの場所は、
かつてはガンダーラ仏教の中心地でもあり、
プルシャプーラ、蓮華都という呼び名で知られていた。
東西南北のあらゆる人々が往来し、空気を共有してきたこの地も今は、
部族の掟やイスラム教の教えに生きるパシュトゥーン人の土地として名高い。



この都に一歩足を踏み入れるといつも心が踊り、
身体中の細胞という細胞がうごめきだす。





迷路のように入り混じる旧市街のバザールを
歩いていると、またたく間に日が過ぎていく。



バザール歩きほど楽しい旅の行事はない。
遺跡を見るよりも、美しい建造物を訪れたり、
雄大な大自然の中に身を置くことよりも、
私にとってそれはずっと魅力的なことだった。


バザールは、その地に生きる人たちの生活の営みや、
古くから続く文化の様相が垣間見れる特別な空間だから。



あてもなく、一日中町を歩き回り。
心惹かれるものを撮って歩いた。







短い言葉を添えて、ペシャーワルの街を写真とともに紹介したい。





泊まっていたマゼバンホテルからほど近い、キッサカワニバザール。
ペシャーワルの旧市街は、かつては城壁で囲まれていた
今ではそれもなくなり、ゲートのみが残されている。




吟遊詩人が多くいたことで知られるこの通りは、
「物語を語る」を意味するキッサカワニという名のみを残し、
物語を語る人々の姿はもう、ない。




キッサカワニバザールを抜けて北へ進み、
ある曲がり角を曲がると、ジュエリーバザールに行き着く。
ゴールドに輝く装飾品の数々に圧倒される。
きらびやかな宝石を身につけることに興味のない私は、
通りの写真だけ撮って、足早に通り過ぎた。




ジュエリーバザールを抜けると、ヤドガーチョークに出る。




このあたりには、両替商が多くいる。
近隣諸国の通貨・特に珍しいアフガニスタンのお札アフガニだって手に入る。





ヤドガーチョークを東に進むと、大きな時計塔が見えてくる。


旧市街の、趣たっぷりな時計塔通り。
ペシャーワルの数ある通りの中でも、
一番美しいと思ったのがこの場所だった。

この時計塔通りを中心として、幾つもの路地が入り混じり
旧市街そのものがバザールのような雰囲気を持っている。




あたり一面に生モノの臭いが広がると、そこは魚市場。
鮮魚が並び、客の目の前で手際よく魚が捌かれる。
辺りの道には、血の混じった水が流れている。




肉の売り方も大胆。
私たちがスーパーで手にする肉とは随分違う。
初めて見たときはぎょっとしたものだ。




お祈りには、欠かせない礼拝マットを売る店。
大きさも生地も、色も柄も様々。
1日に5度このマットの上でお祈りを捧げることになるのだから、
マット選びは重要だ。



きらびやかな装飾がふんだんにあしらわれた衣装。
これは、遊牧移動民クチィの民族衣装。
ここまで豪華なものを着るのは、結婚式の時だろうか。




イスラーム女性が頭を覆うためのドゥパッタやショールを売る店。
涼しい夏用のもの、ウール地の温かいもの、
色や柄も様々で、お気に入りの一枚が見つかるまで、
店員達はこれはどうかこれはどうかと、次々とショールを広げ山ができていく。




男性用シャルワールカミーズの生地屋。
男性用も女性用も、既製品が売られていることは都市部を除けば少なく、
布を購入してから仕立て屋へ行き、
サイズやデザインの希望を伝えて仕立ててもらう。




こちらは女性用シャルワールカミーズの生地屋。
単色でシンプルな男性用に対し、
女性用はカラフルで柄ものが多く、
刺繍もふんだんにあしらわれていて華やか。




日本でいうチャイハネやマライカのような雑貨屋。
ヘナコーンやパウダーも売られている。
パキスタンでもよく、手をヘナで染めている女性を見る。





日常の女性衣装を飾り立てる小物を売る店。
カラフルなネックレスや、シャルワールカミーズの裾などにつける
細やかな刺繍の施されたテープなどが天井まで埋め尽くされている。




キッチン用品を売る店。
ブルカをまとった女性達が品定め中。





パキスタンもアフガニスタンも、山が豊富で、
隠れた天然石の宝庫。値段も日本で買うよりかは安い。
今ではほとんどやらなくなってしまったけれど、
マクラメ編みに使う天然石ルースにぴったり。





鳥は人気のペットなのだろうか?
イスラーム世界あちこちで見かける気がする。





こちらは、大人に代わって店番中かな。






女の子が美人さんだった。




2018年11月 訪問



Peshawarの読み方について
本にはペシャワールと記されていることも多く、
私も初めはその名で呼んでいたけれど、
現地の人たちの発音を聞いていると、
どちらかと言えば「ペシャーワル」に近いと感じたので、
ここではペシャーワルを記すことにした。


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