2019-03-31

パレスチナに行く前に読みたいおススメ本5選。

3月頭から、2週間という短期ではあったけれど、
パレスチナ(イスラエル)とヨルダン、それぞれ1週間ずつ、旅をした。
イスラームを学んで行く中でアラビア語への関心から始まり、
アラブ文化や中東全体に興味が湧いて来たことや、
一度はパレスチナの現状をこの目で見たいという想いから、
出発の1ヶ月前にヨルダン行きの航空券を取り、
3月7日、経由地のアブダビへ向けて成田空港を発った。





パレスチナに行くにあたり、
事前勉強で、パレスチナ問題に関する本をいくつか読んだ。

パレスチナ問題には、
多くの国々やそれぞれの政治的な思惑が複雑に混じり合っている。
そのため、本質を理解するには一方的な見方をするのではなく、
歴史的背景も踏まえてさまざまな角度から見て行く必要がある。

難解なパレスチナ問題。
解説書は、どれを選んだら良いのか迷ってしまうほどに、たくさん出ている。
そんななかで、一から学ぶ人にもわかりやすくてオススメできる本を、
以下に紹介したいと思う。


(紹介というより、感想に近いかもしれない。
内容を記憶しておくためにも、ここに記しておきたい。)








なるほどそうだったのか‼︎パレスチナとイスラエル 

高橋和夫・著



著者は、パレスチナ関連本を数多く出している国際政治学者。

以前、パレスチナ問題に関する別の解説書を読んだことがあるけど、
そのときは「なんだか複雑すぎてよくわからない」で終わってしまった。
解説の難しいパレスチナ問題だが、この本は多角的な視点で書かれているので、
問題の立体像が見えてきやすいと思う。
しっかりと読み込む必要はあるけど、パレスチナ問題の解説書としておすすめできる一冊。
ただし発行が2010年なので、近年のパレスチナ問題を探ってゆくには別の書籍なども併用した方が良い。




ガザに地下鉄が走る日 

岡真理・著



上で紹介した本の発行年が2010年だったので、
最新のパレスチナ情報が知りたいと思い、読んだのがこれ。(2018年11月発行)
結果、読んで見て大正解。この本に出会えて本当に良かった、と思う。
ここ数年で読んだ本の中で一番、と言えるくらい良かった。

本に出てくるのは衝撃的な内容も多い。
この本を読み終わったとき、今いる世界が、ものすごく歪んだいびつな世界に思えた。
けど、どれもこの時代に生きるなら知っておかねばならないことだと思う。

パレスチナと関わり続けて40年の著者が、
絶望的な状況でなお人間的に生きる人々との出会いの物語を綴っている。
解説本を読んで問題の全体像をつかむことはもちろん大切だけど、
それを読んだだけではそこに暮らす人々の姿が見えてこない。
その点この本は、パレスチナ人による事実の証言がベースとなっている。
不条理な世界に対する、パレスチナの人々の叫びが聞こえてくるよう。

著者は、彼らの、声なき声の伝達者。
パレスチナで殺されてゆく人たちの絶望のうめきを体全体で受け止めて来た、
筆者の、不条理な世界に対する静かな怒りがひしひしと伝わってくる。

本の初めから終わりまで、とにかく涙が止まらなかった。
これまで何も知らずにいた、自分に対する不甲斐なさや悔しさもあった。

「ガザ、世界最大の野外監獄、無期懲役ときどき死刑、罪はパレスチナ人であること」

本文に出てきた、パレスチナのガザ地区での出来事の本質を突く一文。


イスラエルが建国され、70万以上のパレスチナ人が難民となった、1948年。
それから、70年の月日が経った。
今やニュースで報道されることは少ないけれど、
パレスチナの状況は、年々、最悪を更新し続けている、のだという。

パレスチナで何が起きたのか、今どんな状況にあるのか、
これからどうなってゆくのか。

心を持った人間であり続けるために、
無知が知らず知らずのうちに、加害者側に加担してしまうことにならないように、
真実を知り続けたい、そう思った。

たとえとして「パレスチナは満州、イスラエルは日本」と言われることがある。
パレスチナとイスラエルの問題は、
私たちにとっても、決して無関係なことではない。


正しく報道されないパレスチナ。
真実を知るきっかけがないパレスチナ。

時間がなくても、パレスチナ問題に興味がなくても、
どんな人でも読んでもらいたい、知ってもらいたいと思える本。

文学的表現がちりばめられた、文章の美しさもまた、素晴らしい点の一つだと思う。




知っておきたい、世界の宗教。
ユダヤ教/キリスト教/イスラム教/ヒンドゥー教/仏教/神道

ペン編集部・編



イスラエルとパレスチナ、双方にとって重要な都市・エルサレム。
この地域に観光に訪れる人たちが必ずと言っていいほど行く場所。
そしてこのエルサレム、宗教を無しにして語ることはできない。
なぜならエルサレムは、ユダヤ教・キリスト教、イスラム教、
それぞれにとって大切な聖地であるから。
エルサレムを歩くということは、宗教と出会うこと。

各宗教を厳密に理解しようとするならば、
それぞれの歴史を知った上で聖書を読んだり解説書を読んだり、
膨大な時間がかかる。
けどこの本を読むことで、最低限必要な基礎知識くらいは知ることができる。

この本は大きく三部構成になっていて、
まず初めに、6つの宗教の解説がある。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、神道。
それぞれの宗教について
■どんな神様を信仰しているか
■いつ、誰が始めたのか
■聖典は何か
■最も重要な教義は何か
■いつ、どこで、どうやって祈るのか
■どうやったら信者になれるのか
■どんな儀式や行事があるか
■どんな宗派があるか
■食べてはいけないものはあるか
■ファッションや髪型に決まりはあるか
■信者との結婚はできるのか
■死ぬと人間はどうなるのか
■悪魔はいるか
■人間はどんな存在か。人間は何のために生きるのか。
などさまざまな視点で解説される。
比較でそれぞれの「違い」と「共通点」が見えてくる。

第二部は、信仰と生活。
信仰を持って生きる人たちを個別にインタビューし、
その暮らしぶりや生活の様子が描かれている。

第3部は、美術と建築。
宗教の下で、それぞれに発展してきた、
それぞれの宗教を形容するような多彩なアートの紹介がされている。




パレスチナを知るための60章

臼杵陽、鈴木啓之・編著




これは帰国してから、さらに知りたいと思って手に取った本。
このシリーズは、その地域の文化面や生活面をも詳しく知ることができるので、
現地事情を改めて理解したいと思った時にとても役立つ。




イスラエルを知るための62章

立山良司・著



パレスチナの、合わせ鏡の裏面にある、イスラエル。
「パレスチナを知るための60章」と読み比べてみると色々な発見があると思う。







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